はじめに
脳梗塞や脳出血といった急性期の疾患から、認知症やてんかん、陳旧性脳梗塞など長期間付き合っていかないといけないような慢性の疾患も扱う神経内科。
その幅の広さや扱う症候の多さもあり、苦手意識を持つ研修医も少なくありません。
しかし、さまざまな病態を扱うことができる非常にやりがいのある診療科です。
今回はそんな神経内科をローテートする時に有用な参考書を紹介していきます。
神経内科全般の知識をコンパクトにまとめた「神経内科ゴールデンハンドブック」
1冊目は南江堂から出版されている「神経内科ゴールデンハンドブック」です。
どの科を回る時でも、その科の知識全体を大まかに知ることができるコンパクトな本を1冊があると研修の効率があがります。
その役割を果たすのが本書です。毎日の研修の中で疑問に思うことが出たり、新しい疾患に出会った時に白衣のポケットからさっと取り出して確認したりメモすると研修が終わった後でも強い味方になってくれます。
隙のない神経診察をマスター「見逃し症例から学ぶ神経症状の“診”極めかた」
苦手意識のある人も少なくない神経診察をマスターするためにおすすめの本が医学書院より出版されている「見逃し症例から学ぶ神経症状の“診”極めかた」です。
40年以上にわたり診療に携わる医師が診断に難渋した例や、見逃した例などを惜しみなく開示しているというだけで非常に価値のある本です。
研修医や若手医師にとって神経診察でどのようなピットフォールがあるのか意識しながら神経診察を学ぶことができるため非常におすすめです。
神経症状をしっかり網羅したいなら「神経症状の診かた考えかた」
頭痛やめまい、痺れといった多様な症状を診る神経内科。それらの症候を網羅している本を1冊用意しておくと、研修が終わった後でも非常に役に立ちます。
ガイドラインなどの推奨を網羅的に書いただけという本と異なり、著者の経験をもとにした情報も含まれていて、明日からの自分の診療に活かしやすい良著です。
読みやすいので通読するのも良いでしょう。
神経内科救急に対応する『Dr.増井の神経救急セミナー』
めまいや頭痛などさまざまな症候が出現し、脳梗塞や脳出血といった見逃すと非常に怖い疾患を含む神経内科の救急疾患は神経内科以外に進んでもかならず習得しておきたい項目です。
本書は救急の現場で神経疾患を疑う患者が目の前に来たときに何を考えるかが実臨床の流れに沿って解説されています。
動画での解説もついているので、本書で神経内科救急に対する苦手意識を払拭してしまいましょう。
まとめ
神経内科は多彩な症状に対応する対応力と、クリティカルな疾患を見逃さない観察力や注意力をもとめられる診療科です。
神経内科の診察の習得を通して医師として必要なこれらの能力を培えばどの科に進んでも自信を持って診療をすることができます。
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