はじめに
認知症について、どれだけ知っていますか?
- 同じことを繰り返し話す
- 昔のことは覚えていることが多い
- 見当識障害がある
- 重症度により幅広い症状がある
- 本人の話を否定しない関わりを意識する
こういったことは、ほとんどの看護師が理解しているでしょう。
しかし、認知症の具体的なメカニズムや、各分類ごとの症状の経過といったような内容は、詳しくは知らない人が多いのではないでしょうか。
「認知症」という言葉で一括りにされがちですが、認知症には実は多くの分類があります。
分類ごとに症状が異なるため、対処方法も多岐にわたるのです。
本書では、認知症患者さんに関わる看護師が知っておくべき知識が網羅されています。
上辺だけの知識ではなく、患者さんの中で何が起こっていて、患者さんからは世界がどう見えているのか、周辺の人間がどのように接するべきなのかといった、より濃い内容を学ぶことができます。
こんな人におすすめ
本書は、以下のような看護師におすすめしたい1冊です。
- 認知症患者さんと関わる機会が多い
- 認知時患者さんとの接し方がよくわかっていない
- 認知症患者さんの家族が対処法に困っているため指導したい
- 認知症について詳しく学びたいが文章を読むのは抵抗がある
- 今後、認知症分野に深く関わっていきたい
「まるごと図解 認知症」とは
「まるごと図解 認知症」は、以下のような構成になっています。
- 認知症の定義・症状
- 認知症の分類
- 認知症の診断
- 認知症に対する薬物療法
- 認知症の患者さんに対する接し方
「まるごと図解」という名の通り、イラストや表、フローチャートなどて視覚的に理解できるコンテンツになっています。
図解だけでなく、実は文章での解説もたっぷりです。
そのため、重要なポイントだけ解説されているというよりは、認知症についてしっかり網羅された内容となっているのが特徴と言えるでしょう。
認知症の分類について
看護師向けの参考書において幅広い疾患が網羅されたものでも、認知症については記載されていることがほとんどです。
しかし、主に2〜3分類程度の紹介のみで終わってしまいます。
本書コンテンツの1つ「認知症の分類」では、よく知られているアルツハイマー型、レビー小体型、血管性、前頭側頭型の4大認知症と呼ばれるもののほか、10種類以上の分類について解説されています。
現在接している患者さんのうち、「アルツハイマー型だと思っていたら実は違う分類の認知症かも…?」と気づくきっかけになることもあるかもしれません。
そうでなくても、今まで知る機会のなかった様々な認知症について理解を深めることで、一人ひとりの患者さんにあった看護を提供できるようになるでしょう。
認知症に対する薬物療法について
患者さんが日々飲んでいる薬について、きちんと理解したうえで看護を行えているでしょうか。
患者さんによっては、1回で十数種もの薬を服用している人もいるため、なんのためにどんな薬を飲んでいるのか、把握しきれていないこともあるでしょう。
しかし、内服中の薬の重要性がわかっていないと、思わぬトラブルが発生する可能性もあります。
認知症に対して根本的に治療できる薬はありませんが、症状の進行を遅らせたり、症状の改善への期待はできます。
実は飲み忘れていることがあったという経歴があれば、症状が進んでしまうことで、患者さんのADLの著しい低下にも繋がりかねません。
それくらい、薬を正しく服用するのは重要なことと言えます。
本書を読むことによって、患者さんがどんな薬を飲んでいるのか理解するきっかけにもなるでしょう。
患者さんの症状がイラストでわかりやすい
認知症の症状については、パッと理解しやすいように患者さんのイラストで解説されています。
患者さんの表情やしぐさなどのイラストにより、解説文がなくても患者の症状について具体的にイメージできるはずです。
視覚的イメージでインプットすることで、多忙な業務中でもふと思い出すことができます。
そのため、スキマ時間にサッとページを開くだけでも知識を蓄積しやすいのがうれしいポイントです。
実践的な内容でもある
認知症の診断方法や薬物療法にとどまらず、認知症患者さんへ接するときの原則や、実際に困ったときの対処法といったような、実践的な内容もあります。
読んだあと、すぐ看護に活かすことができるでしょう。
即実践することは、質の高いアウトプットに繋がります。
本書でインプットした内容について実務でのアウトプットを繰り返すことで、知識も定着しやすくなるはずです。
補足説明も充実
認知症の解説の中で気になる医学用語について、補足説明も豊富です。
「この用語はどういう意味だろう?」と気になっても調べることを放置しがちな人でも、その場で意味を理解できます。
そのため、より確実な知識を身につけやすいのも本書の特徴です。
まとめ
認知症の患者さんに関わる機会がある看護師なら、それぞれの患者さんに適した看護を提供するためにも、認知症についての深い知識を持っていることが望ましいです。
本シリーズは、軽く読み進めるだけでも認知症患者さんの置かれている状況や対処法についてイメージしやすいため、実践にも活かしやすいでしょう。
パッと見て理解しやすい、認知症に特化した参考書を探している人は、ぜひ手にとってみてくださいね。
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