【現役医師監修】耳鼻咽喉科・頭頸部外科を学ぶ研修医におすすめの参考書を紹介します

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はじめに

耳鼻咽喉科・頭頸部外科の守備範囲は、狭いようで意外と広いのが特徴です。耳、鼻、咽喉頭、口腔、気管、甲状腺はもちろんのこと、食道、眼窩や頭蓋底の病変も関連する科と協力して診療することも珍しくありません。

端的に言うと、首から上の、脳と眼球以外はすべて耳鼻咽喉科・頭頸部外科の守備範囲です。

診察自体に耳鏡や鼻鏡、ファイバースコープなど、他の科では使用する機会の少ない器具を用いて診察する機会も多く、研修医としてはハードルが高く感じるかもしれません。

しかし、聴覚・嗅覚・味覚・平衡覚・音声・嚥下など生活の質に関わる感覚器を多く扱う科であり、高齢化社会ではその重要性がますます高まっています。

そして、頭頸部癌の診療では命に関わる疾患と向き合うため、耳鼻咽喉科・頭頸部外科は総じてやりがいのある科です。

また、救急外来では、めまいの患者さんを診察する機会が多く、めまいをしっかり診療できるようにしたいと思う研修医も多いと思います。

本記事では、耳鼻咽喉科・頭頸部外科をローテートする研修医の皆さんに役立つ参考書を紹介していきます。

耳鼻咽喉科・頭頸部外科研修ノート(診断と治療社)

 耳鼻咽喉科・頭頸部外科研修ノートは、研修でとりあえず知っておきたい必要最低限の知識を網羅的に得ることができます。その内容は、研修の心構え、解剖、症状・症候の見方、検査、主な疾患、基本的な手術、知っておくべき制度、書類の書き方などです。

 500ページ以上あるため、最初から最後まで読み込むというよりは、その都度気になる項目をさらっと読む程度でよいでしょう。イラストや画像などの写真もある程度掲載されていますが、全体的には文字の占める割合が多い参考書です。

病気がみえる vol.13 耳鼻咽喉科(MEDIC MEDIA)

 医学生の時からお世話になっている人が多い「病気がみえる」シリーズですが、初期臨床研修においても大いに役立ちます。

 耳鼻咽喉科・頭頸部外科では、耳、鼻、咽喉頭、顔面などの解剖が複雑で分かりにくく、また耳鼻科特有の検査や治療も多く、理解するのに一苦労です。そのような分野だからこそ、イラストによる視覚的な理解が大変有用です。

 ご存じの方も多いと思いますが、これでもか、というほどイラストでの解説を全面に出していますので、文字を読んだら眠くなって勉強が進まないという人は、まずは「病気がみえる」で視覚的に理解していきましょう。

 実のところ、このシリーズは耳鼻科専門医試験でも重宝する逸品です。さらに医学生~専攻医だけでなく、コメディカルまで対象となっていますので、その守備範囲の広さが伺えます。この情報量で価格もお手頃であるため、コスパが非常に高い良書です。

外来で目をまわさない めまい診療シンプルアプローチ(医学書院)

 研修医の皆さんが苦手とするが、診れるようになりたい症候ランキングの上位に入ると思われる「めまい」について、分かりやすくかつしっかりと学べる一冊です。

 本書では2部構成になっており、第1部ではめまいという症候に対するアプローチ方法について、第2部ではめまいの診断に必須となる眼振所見や中枢性めまいの各疾患の画像所見について述べられています。

 末梢性めまいの鑑別方法はもちろんのこと、中枢性めまいについても詳しく解説されています。救急外来では、「まず中枢性めまいを否定」という原則がありますが、それにも十分応えられる内容です。むしろ、神経内科の先生が執筆されているので、中枢性めまいについても十分すぎるほど記載されています。

 本書のお勧めする点として、眼振所見の動画が豊富に掲載されている点が挙げられます。QRコードで読み取って動画を視聴する形式です。眼振をみたことがない初学者にとって、矢印で記載された眼振図だけでは、実際はどのような目の動きをするのか想像することができません。しかし、動画で学ぶことによって、イメージがつきやすくなっており、実際の症例で眼振を見た時に、より確信をもって診断をつけることができます。

 他にも研修医と指導医の対話形式で書かれている点や、イラストが多い点など、研修医が理解しやすい工夫が散りばめられています。

ENT臨床フロンティアシリーズ(中山書店)

 ENT臨床フロンティアシリーズは、2022年1月時点で全12巻が出版されており、耳鼻咽喉科の日常診療に直結するテーマごとに解説された参考書です。「外来処置・小手術」、「検査」、「急性難聴」、「めまい」、「頭頸部癌」、「喉頭」、「口腔・咽頭」、「風邪症候群と関連疾患」、「小児と高齢者の診療」、「薬物療法」、「最新の治療・診断・疾患概念」、「ガイドライン活用術」の12テーマが既刊です。より実践的な内容が書かれており、多忙な臨床診療の中でエッセンスとなる知識を得ることができます。

 写真や図表が多く、耳鼻咽喉科・頭頸部外科研修ノートよりも1つ1つの項目がよく詳しく学べます。

 付録として、患者さんへの説明用書類の実例集やイラストがついており、実際の病状説明で説明すべき内容が理解できます。私もこの実例集を参考にアレンジした説明用紙とイラストはそのまま使用しており、かなり有用な付録となっています。

 研修医の皆さんが12巻すべて揃えるのは金銭的に難しいと思うので、より勉強したいテーマのものを購入するとよいでしょう。

耳鼻咽喉・頭頸部手術アトラス(医学書院)

 研修医の皆さんにとって、術前に手術の大まかなコンセプトは理解できても、1つ1つの手順は分からないことが多いと思います。本書では、その1つ1つの手順を美しいイラストで学ぶことができます。手術の手順だけではなく、解剖、手術の適応、術前に注意すべきこと、インフォームド・コンセント、局所麻酔の方法、ピットフォールなど、手術に必要な項目が網羅されています。

 このアトラスで手術手技や手順のイメージを膨らませて、実際の手術に参加すれば、研修効果が高まること間違いなしでしょう。

今日の耳鼻咽喉科・頭頸部外科治療指針(医学書院)

 本書は、耳鼻咽喉科診療で必要な症候や疾患について、網羅的に記載された総合診療事典です。本書のポイントは、知りたい症候へのアプローチ法や疾患が見開き1~2ページで解説されている点です。

 症候については、表やフローチャートで分かりやすく解説されています。疾患については、病因から、症状、問診で確認すべき点、検査、鑑別診断、治療法、患者説明のポイントが書かれており、必要最低限の知識がすぐに得られます。

 お勧めの使用法は、外来診療中に分からないことや、うろ覚えな項目を数分以内にさっと確認するという使い方です。

 研修医の皆さんも、指導医に付いて外来診療の見学をする際や、実際に初診・予診を担当する際には、本書でパッと必要事項を確認して臨むのがよいでしょう。

 

まとめ

耳鼻咽喉科・頭頸部外科は、守備範囲が意外と幅広く、多様性に富んでいます。しかし、1~数か月の研修で学べることは限られています。したがって、研修する際は、自分が耳鼻科研修で何を学びたいのか、を明確にして、それに必要な参考書を取捨選択していくとよいでしょう。

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