アパート投資は長期にわたり安定した収益が期待できる魅力的な資産運用です。
ただ金融機関から融資を受けられるのか?また融資条件によってアパート投資の成否が大きく変わります。
アパート投資における融資環境は年々厳しくなっており、その状況を踏まえた対策が必要不可欠です。
アパート投資を始めたいけど、融資を受けられるのか不安のある方は多いのではないでしょうか。
・アパート投資の融資状況と融資に関する基礎知識を知りたい。
・融資審査に通りやすくなる方法を知りたい。
このような疑問をお持ちではありませんか?
そこで、この記事では「現状のアパート投資における融資環境」と「融資審査に通りやすくなる知識・対策」について解説します。
具体的には
(1) 投資用不動産向け融資環境について
① 投資用不動産向け融資(残高・実行額)の推移
② 不動産投資向け融資審査が厳しくなった理由
・相続税の税制改正による不動産投資への過熱
・「かぼちゃの馬車」事件などの不正融資問題
(2) 融資審査を通りやすくする基礎知識
① 属性を高める
② 自己資金を確保する
③ 事業計画書を作成~提出する
(3) アパート投資の融資で知っておくべきポイント
① 融資審査判断は「属性」と「物件の収益性」
② 融資金額は勤務先や会社の規模が大きく影響
③ 住宅ローンと不動産投資向け融資との違い
の順番に解説します。
この記事は5分程度で読めますし、
融資審査しだいでアパート投資の成否を左右するといっても過言ではありません。
審査に通りやすくなる知識・対策を事前に知っておくことはとても重要です。
まずは、ご一読下さい!
投資用不動産向け融資環境について

始めに、投資用不動産を対象とした融資額の推移や審査について解説します。
投資用不動産向け融資(残高・実行額)の推移
投資用不動産向けの融資実行額は、2018年9月期以降、急激に減少しています【表1】。
不動産投資の過熱抑制や過去の不祥事(「かぼちゃの馬車」事件など)をきっかけに金融庁から各金融機関への引き締め強化や融資審査基準の厳正化を受けて減少傾向となっています。
【表1:投資用不動産向け融資(残高・実行額)推移】
(出典:金融庁「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果」)
不動産投資向け融資審査が厳しくなった理由
なぜ各金融機関は不動産投資への融資審査を厳しくするスタンスへと変わっていったのでしょうか?
主に2つの要因があげられます。
① 相続税の税制改正による不動産投資への過熱
2015年の税制改正により、相続税の基礎控除額が大幅に減額されました。
不動産による相続は、現金や株式などに比べて相続税の節税対策効果が大きくなります。
そのため相続税対策として不動産投資を始める人が急増する現象が起きました。
くわえてマイナス金利政策の影響もあり、2016年には不動産向け融資残高はバブル期をしのぐほどの過熱状態となりました。
この状況に対して金融庁は各金融機関に対して引き締め強化を実施しています。
② 「かぼちゃの馬車」事件などの不正融資問題
「かぼちゃの馬車」事件などをはじめ、一部金融機関による不正融資が大きな社会問題となりました。
この事件にはスルガ銀行が関係しており、融資審査書類の偽造や改ざんなど不正融資がおこなわれていました。
またスルガ銀行以外にも、地方銀行における不正融資が相次いで発覚しています。
これを受け金融庁は各金融機関に対しての厳しい融資審査を実行するよう指示・指導しています。
上記背景より、不動産投資への融資審査が厳格化されました。
その影響を受け、個人投資家が投資用不動産向け融資審査を通過するのが難しくなったといわれており、現時点においても同様の状況が継続しています。
融資審査を通りやすくする基礎知識
個人投資家に対する融資環境は厳しい状況が続いています。
投資用不動産向け融資を受けるためには、融資審査を通りやすくするための対策が必要です。
そこで、どの様な対策が考えられるのか解説したいと思います。
属性を高める
まず最も大切なのは、融資を受ける人の属性になります。
属性とは、金融機関が融資する際、基本的に返済能力の高い人に対して融資したいと考えます。
返済能力が高い人を指標化したのが、一般的に「属性」と呼ばれています。
すべての金融機関において属性を重要視するのは間違いありません。
各金融機関によって重要視するポイントは異なりますが、共通項目は次の5つになります。
【表2:属性を判断する5つのポイント】
① 勤務先 | 大企業の会社員・医師・公務員は年収が安定しており、属性が高くなる傾向。 |
② 勤続年数 | 勤続年数が長いほど転職率は低く、また退職金は高額となる傾向。 |
③ 年収 | 年収は多い方が、融資金額や適用金利が有利。 |
④ 保有資産 | 保有資産は多いほど、融資金額や適用金利が有利。 |
⑤ 借入額 | 借入額が多いと融資審査に通らない場合あり。 |
融資審査を通りやすくするために転職するのは現実的ではありませんが「勤続年数を積み重ねる」「借入額を減らす」など属性を高める工夫や努力は可能です。
自己資金を確保する
頭金を用意しないで「フルローン」でアパート投資を始めたいと考える人も多いと思います。
しかし融資環境が厳しい現状ではフルローンの融資審査に通るのは、かなり厳しいでしょう。
そのため融資審査を通りやすくするには、ある程度の自己資金は用意する必要があります。
自己資金が多い方が、金融機関から見ると返済能力の信用性が上がり属性が高く評価されます。
逆に借主の属性が低い場合、多くの金融機関は多くの自己資金を用意するよう求めてくるでしょう。
ただし注意したい点は、自己資金を多く入れ過ぎると手持ちの余裕資金が少なくなることです。
アパート投資には空室・家賃下落リスクや修繕費など、突発で手持ち資金が必要となる場合があります。
その時に備えて手持ちの資金を、ある程度確保しておかなければ突然キャッシュフローが廻らなくなる場面に遭遇する可能性があります。
金融機関から見ると自己資金が多い方が属性は高く評価されますが、借主側としては手持ちの余裕資金は極力確保しておくべきです。
よって融資金額は「自己資金と手持ち余裕資金」のバランスを良く考慮したうえで決める必要があります。
事業計画書を作成~提出する
金融機関に融資審査を依頼する際、購入物件でどのような事業経営をおこなうのかを示す「事業計画書」を提出することが一般的です。
事業計画書は①収支計画(予想される収益・経費を含めた収支計画)、②融資返済計画、③キャッシュフロー計画(シミュレーション)などを作成~記載します。
空室率や家賃下落率などは、周辺地域の調査に基づいて適切な数値を用いることで事業計画書の信頼度も上がります。
事業計画書の精度が高く、より現実的な内容であれば金融機関からの評価は大きく高まります。
番外編
審査が通らなかった時には利回り不動産|不動産クラフトファンディングを使うといいです。
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アパート投資の融資で知っておくべきポイント
続いてアパート投資をする上で融資について知っておきたいポイントを解説します。
融資審査判断は「属性」と「物件の収益性」
最終的にアパート投資の融資審査は「借主の属性」と「物件の収益性」の2つで判断されます【表3】。
【表3:住宅ローンとアパート投資向け融資との違い】
マイホーム | アパート投資 | |
借入目的 | 自己住居 | 他人に賃貸 |
返済方法 | 自分で返済 | 家賃収入で返済 |
審査基準 | 自分の属性 | 自分の属性物件の収益性 |
金融機関は借主の属性以外に、物件の収益性についてもしっかり見ています。
アパート投資向け不動産融資の返済原資は家賃収入になります。
万が一、返済が不能となった場合には金融機関は担保であるアパート物件を売却して残債を回収します。
そのため融資審査の際には借主の属性にくわえて、物件の収益性や担保価値も重視しています。
仮に借主の属性評価が低い場合でも、物件の収益性及び担保価値が高ければ十分に融資を受けられる可能性があります。
融資審査においては属性ばかり注目されがちですが、実際は購入物件の収益性も非常に重要です。
物件選びの際は、なるべく収益性の高い物件を見つけ出すことにも注力が必要です。
融資金額は勤務先や会社の規模が大きく影響
融資金額は勤務先や会社の規模が大きくなるほど属性の評価は高くなり増えていきます。
例えば上場企業や黒字が続いている企業に勤めている会社員であれば融資限度額が高くなる傾向です。
また勤続年数が20年となれば融資額が約1割増える金融機関もあります。
そのため転職回数が多い方は、融資審査には厳しい方向となりますので注意が必要です。
住宅ローンと不動産投資向け融資との違い
住宅ローンと不動産投資向け融資では、借入目的や返済方法が大きく異なります。
自己住居用として、自分の給与などから返済をおこなうのが住宅ローンです。
一方、不動産投資向け融資は、購入物件を賃貸することで家賃収入を得ます。
個人の給与収入より、不動産収入の方が安定性に欠けるため、住宅ローン金利は約0.5%~2.0%と低いのに対して、不動産投資向け融資金利は約1.5%~4.0%と一般的に高い金利設定となります。
そのため金融機関に対して属性、自己資金、収益物件などの好条件を揃えることで適用金利を少しでも下げる努力が必要となります。
まとめ
投資用不動産向け融資は、過去の不正融資問題もあり融資審査は現在も厳しい状況が続いています。
そのため個人投資家が金融機関の融資審査を通りやすくするには、属性の改善や自己資金の確保などの対策が必要です。
アパート投資を始めるには融資審査を通過するのが第一歩です。
そのためには事業計画書の作成や収益物件を探すなど地道な作業が必要となりますが、正しい努力を続けていれば、最適な融資先は必ず見つかります。
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