土地を売却すると確定申告は必要なのでしょうか?
結論を申し上げると基本的に確定申告は必要となります。
申告が不要な場合もありますが、確定申告しておくと繰越控除などのメリットもあります。
しかし確定申告は、難しくてよくわからないと思っている方は意外に多いのではないでしょうか?
自分も毎年の確定申告は、とても面倒だと思っていましたが一度憶えてしまえばとても簡単です。
またe-TAXを使えば、パソコンやスマホから簡単に確定申告ができる環境も整っています。
・土地を売却したら確定申告は必要?
・土地を売却した際の確定申告の手続きについて知りたい
・土地を売却した時の税金はどうなるの?
このような疑問をお持ちではありませんか?
そこで、この記事では確定申告が初めての方にもわかりやすく「土地売却時における確定申告が必要なケース」と「手続き及び税金」について解説したいと思います。
この記事は5分程度で読めますし、土地売却時における確定申告の方法が理解できると思います。
また確定申告により、特別控除を利用すれば無駄な税金を支払わなくても済む場合もあります。
まずは、ご一読下さい!
土地を売却したら確定申告は必要!
土地売却時は基本的に確定申告が必要になりますが、場合によっては確定申告が不要になることもあります。
ここでは土地売却時における確定申告について解説しましょう。
土地売却によって売却益が生じた場合
土地を売却して得られた利益が「譲渡所得」になります。
譲渡所得は、給与所得とは分離して課税されるため確定申告が必要となります。
譲渡所得の計算方法は、以下のとおりです。
〇譲渡所得 = 譲渡収入金額 – (取得金額 + 譲渡費用) – 特別控除
例えば、
土地を5,000万円で売却して、土地の取得金額4,000万円、売却手数料など譲渡費用200万円の場合は譲渡所得が800万円となるため確定申告が必要となります。
〇譲渡所得 = 800万円 = 5,000万円 – (4,000万円 + 200万円)
また土地を売却した際の譲渡所得に対して、特別控除が受けられる場合があります。
譲渡所得に関する特別控除については国税庁HPを確認下さい。
(国税庁HP→https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3223.htm)
この譲渡所得に対して、譲渡所得税が課税されます。
〇譲渡所得税額 = 譲渡所得 × 譲渡所得税率(短期 or 長期)
土地売却で確定申告が不要なケース
土地を売却して損失が生じた場合は、確定申告は基本的に不要です。
ただし損失額だけ所得税控除を受けたい時は、確定申告が必要となりますのでご注意下さい。
一定の要件を満たす場合であれば繰越控除の「損益通算」が適用されます。
損益通算とは申請した年の所得で損失額を相殺できない場合、翌年以後、最長3年間の損失繰越が認められています。
マイホームを買い替えた際に譲渡損失が生じた場合、以下の繰越控除が利用できる可能性があります。
・「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」
・「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」
確定申告しないと追徴金が課せられる
土地売却後に確定申告しないと、税務署より追徴金が課せられます。
納付すべき税金とは別に追徴金を納付する必要がありますので、必ず確定申告するようにして下さい。
① 無申告加算税が発生するケース
無申告加算税とは、確定申告期限である毎年3月15日までに申告書を提出しなかった場合、納付すべき税金とは別に課される追徴金になります【表1】。
【表1:無申告課税率について】
納付税額 | 無申告加算税 |
納付税額が50万円まで | 15% |
納付税額が50万円を超える部分 | 20% |
税務署の調査前に自主的に期限後申告をした場合 | 5% |
② 延滞税が発生するケース
確定申告期限は毎年3月15日ですが、同時に納付する税金を支払う期限日でもあります。
この日までに納付していない場合に課せられるのが延滞税です。
延滞税は、納付を延滞した日数に対して延滞税が課せられます。
納付が遅れるほど金額は大きくなりますので、速やかに納付したほうが良いでしょう。
なお延滞税の税率は、年によって異なりますが、令和3年は2月末まで年2.5%、3月以降は年8.8%です。
③ 故意に確定申告を提出しない場合は「脱税」となります。
脱税は重大な犯罪であるため、厳しい罰則があります。
故意に脱税をした場合は「5年以下の懲役もしくは最大500万円以下の罰金、または、その両方」が課せられます。
土地を売却した際の確定申告の手続きについて
それでは確定申告はどのように進めればいいのでしょうか?
ここでは、確定申告に必要な書類と流れについて解説します。
土地売却時に確定申告で必要な書類は?
土地を売却して確定申告する場合に必要な書類は、基本的に以下の6点です。
確定申告に書類漏れがあると税務署から問い合わせがありますので、すべて揃えるようにしましょう。
確定申告書類は最寄りの税務署窓口で受け取るか、国税庁HPからのダウンロードで入手できます。
またインターネットの確定申告書作成コーナー(e-TAX)でも作成できます。
【表2:土地売却時に確定申告で必要な書類一覧】
書類名 | 内容 | 入手場所 |
申告書第一表・第二票(B様式) | 個人事業者や土地・建物を売った人などが使用する申告書類 | 税務署 |
申告書第三表(分離課税用) | 土地・建物の譲渡などの給与所得とは分離課税される場合に必要な申告書類 | 税務署 |
譲渡所得の内訳書(土地・建物用) | 売却した土地に関する情報(所在地、面積、売却金額等)などを記入する書類 | 税務署 |
売買契約書のコピー | 土地購入時と売却時の売買契約書のコピー | 土地購入/売却時に締結した契約書 |
建物・土地の登記事項証明書 | 売却をおこなった土地の登記事項証明書 | 法務局 |
領収書 | 取得費用と譲渡費用の証明として使用 | 土地の売却時に関する領収書 |
土地売却時の確定申告の流れ
土地売却時の確定申告の流れは①~③となります。
① 確定申告に必要な書類を準備する(上記6点)
② 確定申告書の作成
・申告書第一表、第二表(B様式)
・申告書第三表(分離課税用)
③ 譲渡所得の内訳書(土地・建物用)を記入する
自分で確定申告が難しい場合は税理士に依頼しよう
土地売却時には、確定申告が必要となりますが自分で手続きをするのは難しいと思う方もいるでしょう。
そのような方には、税理士に確定申告書の作成など必要な手続きを依頼する方法もあります。
ただし依頼費用は、約10~20万円程度と高額です。
知り合いの税理士への依頼や、インターネットで地元の税理士を探すのも良いでしょう。
個人事業主であれば税務顧問を雇いましょう
個人事業主は、法人より経営基盤が不安定なため、法人よりも多くの支援が必要なはずですが、
個人事業主の税理士報酬は法人と比較して相対的に低く、税理士も敬遠しているのが実情です。
上のリンクは個人事業主も対応している会計事務所ですので、土地売却だけでなく個人事業主の方のお役立ちになることでしょう。
土地を売却した時の税金はどうなるの?
土地を売却した時には、その利益に対して譲渡所得を課せられます。
また、活用できる特別控除もありますので、忘れずに活用するのをおすすめします。
売却益が生じた場合、譲渡所得税を支払う必要がある
土地を売却して譲渡所得を得た場合、譲渡所得税が課せられます。
〇譲渡所得 = 譲渡収入金額 – (取得金額 + 譲渡費用)
〇譲渡所得税額 = 譲渡所得 × 譲渡所得税率(短期 or 長期)
なお譲渡所得税には短期譲渡所得税と長期譲渡所得税があります。
短期譲渡所得税と長期譲渡所得税について
土地を売却して売却益が生じた場合、土地の所有期間によって短期譲渡所得税 or 長期譲渡所得税どちらかの適用税率がきまります。
具体的には、売却した土地の所有期間が5年以下であれば短期、5年を超えていれば長期となります。
【表3:短期譲渡税と長期譲渡税との違い(復興特別所得税含む)】
短期譲渡所得税 | 長期譲渡所得税 | |
所有期間 | 5年以下 | 5年超 |
所得税 | 30.63% | 15.315% |
住民税 | 9% | 5% |
合計 | 39.63% | 20.315% |
なお所有期間は譲渡した年の1月1日時点で計算されるため注意が必要です。
わかりやすく説明すると、土地の保有期間中に1月1日を6回以上迎えれば長期譲渡所得税、5回以下であれば短期譲渡税が適用されます。
譲渡所得税率は短期39.63%と長期20.315%では約2倍も違います。
したがって不動産投資などの不動産売却タイミングは、細心の注意が必要です。
土地売却時の特別控除について
土地を売却して譲渡所得が生じた際、一定の要件を満たしていれば特別控除が適用できます。
また譲渡損失が生じた際も、同じく要件を満たしていれば繰越控除の特例が適用できます。
譲渡所得に関する特別控除は数多く用意されています。
売却目的や金額などに応じて適用可能な特別控除が有るのか国税庁HPで確認してみて下さい。
(国税庁HP→https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3223.htm)
また特別控除を適用すれば納税額0円となる場合がありますが、その場合でも確定申告は必要となります。
まとめ
土地を売却して得られた利益が「譲渡所得」です。
譲渡所得は、給与所得とは分離して課税されるため確定申告が必要となります。
土地を売却して損失が生じた場合は、確定申告は基本的に不要です。
ただし損失額だけ所得税控除を受けたい時は、確定申告が必要となりますのでご注意下さい。
土地を売却して譲渡所得を得た場合、譲渡所得税を支払う必要があります。
譲渡所得税には短期と長期があり、土地の所有期間によって譲渡所得税の適用税率がきまります。
譲渡所得税率は短期と長期では約2倍も違いますので、不動産投資などの不動産売却タイミングは細心の注意が必要です。
譲渡所得に関する特別控除は数多く用意されています。
売却目的や金額などの要件に適応した特別控除があるのか調べてみると良いでしょう。
またe-TAXを使えば、パソコンやスマホから簡単に確定申告ができる環境も整っています。
ぜひチャレンジしてみて下さい。
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