現在の不動産相場は2013年以降、価格の上昇傾向が続いており好調な状況と言えます。
ただ、この状況はいつまで続くのかと不安を感じていませんか?
「10年後の相場はどうなっているのか?」は誰もが気になるところです。
この先の不動産相場を考えると、残念ながら多くの不安要素が散見されます。
そのため、これからマイホームなどの不動産購入を予定されている方にとって、不動産相場の動向を推測して少しでも有利になるような対策を考えておくのはとても重要です。
・10年後の不動産相場はどうなっているか?
・それは安心できる状況なのか?
・10年後の不動産相場を想定して、今からできる行動や対策を教えて欲しい。
このような疑問をお持ちではありませんか。
そこで、この記事では統計データなどを利用して「10年後の不動産相場を推測、これからの不動産購入の対策」について解説したいと思います。
この記事は5分程度で読めますし、
不動産相場の将来を推測すれば、少しでも有利な対策やとるべき行動が見えてくるはずです。
まずは、ご一読下さい!
10年後の不動産相場を推測する
始めに、今後10年間の不動産相場について推測してみます。
不動産の相場を検討するにあたって大切な要素となるのは、日本の人口と空き家率です。
人口の減少(生産年齢人口の激減)
日本の総人口は、少子高齢化の進展により2008年の1億2,808万人をピークに減少に転じています。
2030年には1億1,912万人(2015年に対して▼6.3%)、2045年には1億642万人(▼16.3%)まで減少すると予測されています【表1】。
また不動産相場に大きく影響すると言われる生産年齢人口(15~65歳)は、日本の総人口よりも減少幅が大きく、2030年には6,773万人(▼11.3%)、2045年は5,353万人(▼29.9%)まで減少すると予測【表2】されており、不動産相場とって逆風となる見込みです。
【表1:日本の総人口予測と指数】
総人口(単位:1,000人) | 指数(2015年=100) | ||||||||
2015年 | 2020年 | 2025年 | 2030年 | 2035年 | 2040年 | 2045年 | 2030年 | 2045年 | |
日本全国 | 127,095 | 125,325 | 122,544 | 119,125 | 115,216 | 110,919 | 106,421 | 93.7 | 83.7 |
(出典:国立社会保障・人口問題研究所)
【表2:日本の生産年齢人口予測と指数】
生産年齢人口(単位:万人) | 指数(2015年=100) | ||||||||
2015年 | 2020年 | 2025年 | 2030年 | 2035年 | 2040年 | 2045年 | 2030年 | 2045年 | |
日本全国 | 7,629 | 7,341 | 7,085 | 6,773 | 6,345 | 5,787 | 5,353 | 88.7 | 70.1 |
(出典:国立社会保障・人口問題研究所)
空き家率の増加(住宅の供給過多)
日本全国の空き家率は、過去最多を更新している状況をご存じでしょうか?
2018年(平成30年)の空き家数は846万戸、空き家率は13.6%と過去最多を更新しています【表3】。
空き家数の推移をみると過去から一貫して増加傾向であるため、住宅数の供給過多が一番の要因であると考えられますが2008年以降は総人口の減少も影響していると推測されます。
【表3:空き家数および空き家率の推移(全国)】
(出典:総務省統計局)
2018年(平成30年)の全国総住宅数は、6,242万戸、増加率は3.0%です【表4】。
総住宅数も過去から一貫して増加傾向であり、過去30年間で約2,000万戸(+48.5%)も増えています。
また平成15年以降は、増加率も縮小傾向であるため住宅は供給過多の状況であると推測されます。
【表4:総住宅数および増加率の推移(全国)】
(出典:総務省統計局)
すでに不動産バブルに突入している?
現在の不動産価格(住宅)は、2013年の日銀金融緩和政策をきっかけに上昇傾向となっています【表5】。
特にマンション価格は、新築1戸あたり平均5,000万円を超えており過去最高値を更新しています。
【表5:不動産価格指数(住宅)】
(出典:国土交通省)
これまで述べてきた項目を整理します。
① 日本の総人口は減少傾向であり、特に生産年齢人口は大きく減少する見通し。
② 空き家率は過去最多の状況。住宅の供給過多が要因であると推測される。
③ 不動産価格は上昇傾向が続いており、特にマンション価格は過去最高値を更新中。
統計データなどを踏まえて10年後の不動産相場を推測する限り、不動産相場はこのまま上昇し続けることは難しく、逆に値下がりする可能性が高いと考えるのが自然です。
ただ10年後の日本に住む人がいなくなる訳でも、住宅購入者がゼロになる訳でもありません。
誰もが欲しがるような不動産物件は必ず存在しますし、そのような物件は資産価値も高く将来においても高値で取引されるはずです。
では、どのような不動産物件が将来的にも資産価値が高いのでしょうか?
これからできる不動産購入の対策について考えてみたいと思います。
これからできる不動産購入の対策について
不動産購入の対策方法としておすすめなのがマンション物件です。
併せて不動産を選ぶ際にポイントとなる立地や広さなども解説しましょう。
リセールバリューを考えるならマンション物件がおすすめ
マクロ環境を考えると、10年後の不動産価格は総じて下落するリスクが高いと推測されます。
これから不動産購入を検討されている方は、資産価値の下がりにくい物件選択がとても重要となります。
資産価値の下がりにくい(=リセールバリュー)不動産を選ぶなら、マンション物件がおすすめです。
その理由について解説します。
立地(エリア)
① 人口減少の少ない立地(エリア)を選ぶ
日本の総人口は減少傾向ですが、都道府県別に見ると人口が増える地域はあります。
将来的に人口が増える、または変わらない都道府県は東京都のみです【表6】。
資産価値が下がりにくい不動産物件購入を考えるなら、東京を中心とした都市部を選ぶべきでしょう。
地方でも資産価値の下がりにくい物件は存在しますが、探し出すのは相当にハードルが高いと思われます。
ただし東京都であれば、立地はどこでも良い訳ではありません。
東京都の中でも、さらに資産価値が下がりにくい立地を選定する必要があります。
【表6:都道府県別/人口増減指数(推定)】
順位 | 2030年(2015年=100) | 2045年(2015年=100) | ||
全国 | 93.7 | 全国 | 83.7 | |
1 | 東京都 | 102.7 | 東京都 | 100.7 |
2 | 沖縄県 | 102.5 | 沖縄県 | 99.6 |
3 | 愛知県 | 98.3 | 愛知県 | 92.2 |
4 | 神奈川県 | 97.9 | 神奈川県 | 91.1 |
5 | 埼玉県 | 97.4 | 埼玉県 | 89.8 |
~ | ~ | ~ | ~ | ~ |
43 | 福島県 | 85.4 | 福島県 | 68.7 |
44 | 山形県 | 85.2 | 高知県 | 68.4 |
45 | 高知県 | 84.4 | 山形県 | 68.4 |
46 | 青森県 | 82.3 | 青森県 | 63.0 |
47 | 秋田県 | 79.6 | 秋田県 | 58.8 |
(出典:国立社会保障・人口問題研究所)
② 駅から徒歩5分以内のマンション物件を探す
東京都の中でも、さらに資産価値が下がりにくい立地は間違いなく駅近です。
駅から徒歩5分以内(最低7分以内)が立地選びの最低条件となります。
駅近の物件は、すでに地価が高く、そのためマンション物件が対象となります。
広さ(床面積50~70㎡がおすすめ)
① 売れる・貸せる対象者が多い広さを選ぶ
マンションのタイプ別広さは、おおよそ以下となります。
・1K・ワンルーム:20~30㎡
・1LDK:30~40㎡
・2~3LDK:50~70㎡
・3LDK以上:70㎡~
マンションの広さで考えると50~70㎡がおすすめです。
その理由は「売れる・貸せる」対象者が多いことが挙げられます。
現在、ファミリー世帯は約1,400万世帯ですが、2030年には1,200万世帯まで減少する見通しです。
一方、一人暮らし+二人暮らし+母子家庭の世帯は約3,500万世帯から、2030年には3,650万世帯まで増加すると予測されています(国立社会保障・人口問題研究所予測)。
この流れは、今後も継続~拡大する見通しです。
住居人数の多いファミリー世帯は減少傾向となるため、床面積の広い70㎡超~マンション物件は買い手が付かず資産価値が下がる可能性が高いと推測されます。
② 住宅供給量が少ない
一人暮らしを対象とした1K・ワンルームマンション(20~30㎡)は都心部では、すでに飽和状態と言われています。
一方、広さ50~70㎡は物件数的に少なく、需要と供給を考えると将来的にも資産価値は下がりにくい傾向と推測されます。
③ 住宅ローン控除も利用できる
また50㎡以上であれば住宅ローン控除の対象になります(2021年~広さ40㎡以上まで対象拡大)。
年末時点の借入残高の1%(2022年以降は0.7%)が所得税や住民税より税金が還付されます。
そのため住宅ローン控除が利用できる広さを選ぶのも重要なポイントです。
築10年~20年を選ぶ
マンションは、築後5年以内が最も価格低下が最も大きいと言われています(新築プレミアムが落ちる)。
また築20年までは一律で下がっていきますが、築20年過ぎると値下がりは緩やかになります【表7】。
築年数が20年となると、設備も古いため故障や修繕リスクが高くなるため、築10年~20年の物件できちんとメンテナンスされている物件を選ぶのがおすすめです。
【表7:中古マンション築年帯別価格】
(出典:不動産流通機構)
まとめ
●10年後の不動産相場は、値下がりする可能性が高いと推察されます。
その理由は次の3点です。
① 日本の総人口は減少傾向であり、特に生産年齢人口は大きく減少する見通し。
② 空き家率は過去最多の状況。住宅の供給過多が要因であると推測される。
③ 不動産価格は上昇傾向が続いており、特にマンション価格は過去最高値を更新中。
●これから不動産売買を検討されている方は、資産価値の下がりにくい物件選択がとても重要です。
資産価値の下がりにくい物件選びの条件は以下になります。
① マンション物件
② 立地(エリア)
③ 広さ
④ 築年数
将来の不動産相場を可能な限り推測することで、今後購入すべき物件や対策が見えてくるはずです。
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