研修医としてはじめに押さえたいカルテの書き方
研修医になりいよいよ医師としての仕事が始まるその時からカルテ記載を行う必要が出てきます。
医学的な知識が豊富で、良質なアセスメントができたとしてもカルテに十分に記載できていないと、それが十分に伝わりません。
今回は誰も教えてくれないが実は大事なカルテの書き方について学んでいきましょう。
そもそもカルテを書く目的は?
カルテを記載する目的は「記録」「整理」「計画」という言葉で表すことができます。
まず患者を診療するときにどのような疾患でそれにどのような治療を行いどうなったかを「記録」する必要があります。
しかし単純に記録だけをするのがカルテの役割ではありません。
カルテ上ではその人に起こっている問題を書き出すことになります。
それにより、経過が「整理」され、次に何をすべきかについて道筋が立ちます。
そしてカルテに記載されている「整理」された情報を元に今後の「計画」をカルテ上で共有します。
それによって治療が進んでいくのです。
カルテに必要なこととは
記載を読めば患者がどのような状態かわかることが重要です。
すなわち根拠があり医療行為を行ったのか、その医療行為が妥当なのかが分かる必要があります。
わかりやすく書くことも当然必要です。
カルテは医師だけではなく、看護師や薬剤師、リハスタッフなどにとっても重要な判断材料です。
カルテが分かりにくかったり、記載が不十分だと医療従事者間の伝達ミスが起こり、ひいては医療ミスにつながってしまうことになるでしょう。
問題指向型医療記録「POMR(Problem Oriented Medical Record)」
実際にカルテの書き方として多くの病院で採用されている方式であるPOMRを紹介します。
この方式のカルテは4つの項目(SOAP)からなります。
SはSubject主観的情報を意味します。
患者さんが話した内容から得られた情報のことです。どんな自覚症状があるのか何に困っているのかなど、患者さんが自分の状態に対して主観的に捉えている内容を記載します。
OはObjective客観的情報を表します。
診察所見や検査所見など客観的なデータに付いて記載します。
SとOをしっかり書くと、患者が感じている症状と客観的なデータの対比ができそれにより患者の状態を細かく評価できます。
この評価がA:Assessmentです。
鑑別疾患や、その中でどの疾患が最も確率が高いか、それに対してどのようにアプローチすべきかといった内容を記載します。
評価ができたらその内容をもとにP:Planつまり今後の計画を記載します。
つまりこのSOAPというのは患者の情報を「記録」しその内容を「整理」しつつ評価を行い「計画」を定めるという方式です。
このカルテ記載の型を覚えることで、はじめに説明した目的を達成することができるのです。
おすすめの参考書
カルテの型は教わりつつ実際に記載するのが最も有効です。
教えてくれる人がいないときは医学書院より出版されている「「型」が身につくカルテの書き方」という参考書の内容を身に着けると良いでしょう。
そのうえで自分なりにブラッシュアップしてわかりやすいカルテ記載をこころがけましょう。
おわりに
電子カルテはキーボードで書きます。研修医になる前にブラインドタッチで素早くカルテ記載できるようになると圧倒的に業務効率が向上します。
キーボードを打つのが遅いと必要な情報が記載しきれず、ブラインドタッチできないと外来で手元ばかり見て患者を見ないと、患者さんから不信感を抱かれます。
ぜひブラインドタッチをできるようになりましょう。
小さいことのようで大きく医師人生が変わる大切なスキルの一つです。
今後も医療従事者の方にタメになる記事を配信していきます。
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