薬剤師向けの薬物間相互作用関連の参考図書紹介
薬物間相互作用を薬学部ほど深くしっかりと勉強する学部はないでしょう。
そのため、薬剤師としての専門性を発揮できる分野として薬物間相互作用はとても大切です。
薬同士の相互作用は問題ないかという視点は、他の医療スタッフにはなく、薬剤師さん独自の役割ではないかと思います。
とはいえ薬物間相互作用は大学では深く学ばなく、どのように勉強したら良いのかと困る方も多いかと思います。
実際の医療現場で使用できる薬物間相互作用の知識は、多岐にわたります。薬物間相互作用を学ぶことができる本で勉強しておくことが大切です。
今回は、薬剤師として必要な薬物間相互作用を学ぶ上で参考になる本を厳選して紹介していきたいと思います。
薬物間相互作用について詳しく学べる本
新版 薬の相互作用としくみ
薬物相互作用の発現機序(しくみ)を薬理学・分子生物学の最新知見に基づいて解説されているとともに、相互作用を引き起こす薬剤の組み合わせと起こり得る結果が一覧表にまとめられています。
患者の服薬情報(OTC薬や健康食品を含む)を一元的に把握し、これまで以上に相互作用に目を光らせ、医師と連携しながら、安全で有効な薬物治療を支えていくことが、薬剤師には求められています。
この本は、薬物相互作用を系統立てて学べることができ、他に類をみない実践テキストとして、薬剤師必携の一冊です。日常業務で困ったときにとても頼りになります。
医療現場のための薬物相互作用リテラシー
薬物間相互作用は、従来は相互作用があるのかないのかという視点でのみ評価されていましたが、近年はどの程度影響があるのかというところまで踏み込んで考えられています。
このことからわかるように、薬物間相互作用は大きな転換点を迎えていると感じます。
この本は、薬物間相互作用予測に有用なCR-IR法とPISCSの使い方から、基質薬や阻害薬・誘導薬として重要な薬剤のDDIマネジメントまで、医療現場で必要な薬物間相互作用リテラシーを身につけるための解説書です。
薬剤師として先端を学べる薬物相互作用のプロ級対応力が身に付く1冊で、一度しっかりと学ぶことをお勧めします。
これからの薬物相互作用マネジメント 臨床を変えるPISCSの基本と実践 第2版
みなさんご存知のように薬物間相互作用の強さと予測を臨床的なリスク評価設定に応用するためのフレームワークをPISCS(ピスクス:Pharmacokinetic Drug Interaction Significance Classification System)といいます。
各CYP分子種(薬物代謝酵素)の基質薬のクリアランスへの寄与率(CR)と阻害薬の阻害率(IR)、または誘導薬によるクリアランス増加率(IC)から血中濃度変化を推察し、添付文書に記載のある組み合わせだけでなく、記載のない組み合わせまで薬物相互作用の影響を予測、リスク評価することができます。
「薬を切り換える?」「用量調節する?」「用法調節だけで大丈夫?」など、さまざまな臨床的な疑問に定量的なヒントを示すPISCSを解説した好評書です。
一度勉強をしておくことで、幅広く応用がききます。
一度読むことおすすめする1冊です。
薬がみえる vol.4
人体の生理、疾患の病態生理、薬理作用をつなげて構成したビジュアルテキストです。
薬力学、薬物動態学、製剤学、薬剤の使用と実務とともに薬物間相互作用が収録されています。
姉妹シリーズの病気がみえると同様に、わかりやすさと使いやすさに徹底的にこだわっており、薬物間相互作用についても、基本的な考え方からその知識の使い方までしっかりガイドされています。
イラストが多く、初学の一冊として良い本だと思います。
薬物間相互作用以外にサプリメントや健康食品との相互作用を学べる本
健康食品・サプリメントと医薬品との相互作用事典 第2版
日本医師会・日本歯科医師会・日本薬剤師会が合同で監修している、サプリメントや健康食品と薬の相互作用を学ぶことができる1冊です。
この本は、医薬品と相互作用のある食品(野菜、果物、健康食品、サプリメント、ハーブ、嗜好品等)について、3段階の危険度(高・中・低)で示したハンドブックです。
医薬品と食品の両方から調べることができます。食品側から相互作用を調べることは難しく、貴重な1冊です。
多くの医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士、サプリメントアドバイザー、登録販売者等の方々に活用されています。相互作用の数が初版時から大幅に増え、約2,900の相互作用が収載されていて、医薬品(一般名、分類名)一覧が加わり、医薬品名がより調べやすくなっています。
薬物間相互作用以外に食品との相互作用を学べる本
医薬品-食品相互作用ハンドブック 第2版
医薬品と食品の相互作用を、膨大な数の原著論文に基づき広範にまとめた国内最大のハンドブックの第2版です。
この本は医薬品と食品の相互作用だけでなく、医薬品と栄養状態、ライフステージ、癌、移植などの特定状態下での相互作用など広範にわたる研究成果が網羅されているといった特徴をもちます。
薬物トランスポーター、経静脈栄養を受けている患者における医薬品と食品の相互作用の章が追加され、とくに医療関係者には極めて有益な情報がたくさん収載されています。
医療機関に必備なのはもちろんのこと、薬剤師、臨床医、管理栄養士などの医療系研究者には必須な1冊です。
食と薬の相互作用 改訂第2版
薬の法制度、汎用される医薬品の薬理作用の概要、サプリメントと薬物の相違、抗肥満薬の現状などとともに、食と薬の相互作用についてわかりやすく体系的に解説されています。
まとめリンク
これからの薬物相互作用マネジメント 臨床を変えるPISCSの基本と実践 第2版
まとめ
薬剤師にとって、薬物間相互作用は重要な基礎的知識であり、専門性のある分野でもあります。
今回は、基本的な概念を学べる1冊から、薬物間相互作用の細かい点まで学べる1冊まで7冊のテキストを紹介いたしました。
ご自身にあった1冊を見つけて、臨床で活躍していただくことを望んでおります。
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