終末期における緩和ケアを学ぶ
内科医として業務にあたっていると、病気が改善して元気になる患者さんばかりでなく、亡くなってしまう患者さんを診ることも多くあります。
そのような時に必要な知識が緩和ケアの知識です。
医学生や研修医になったばかりの人の中にはピンとこない人もいるかも知れませんが、緩和ケアの知識が有ると様々な場面で応用することができ、患者さんのQOLを向上させるための大きなツールになります。
今回はそんな緩和ケアについて見ていきましょう。
緩和ケアとは
WHOによる緩和ケアの定義は以下の様になっています。
緩和ケアは生命を脅かす病に関連する問題に直面する患者とその家族のQOLを、痛みやその他の身体的・心理・社会的・スピリチュアルな問題を早期に見出し的確に評価を行い対応することで苦痛を予防し和らげることを通して、向上させるアプローチである。
この定義を見てわかるように緩和ケアは本来寿命が短い人に対して治療を諦めて行うというニュアンスのものでは無く、疾患などが原因の苦痛を取り除き患者のQOLを上げるためのものなのです。これは医師全体が身につけるべきスキルと言えます。
緩和ケアに必要なスキル
内科医が緩和ケアに必要なスキルとしては、知識として身につけられる身体的苦痛に対するコントロールのための知識と、病める患者やその家族に相対する際のプロフェッショナリズムがあります。
身体的苦痛に対するコントロールのための知識
緩和ケアに関する書籍で知識を身につけることができます。身体的苦痛に対するコントロールのために知識は様々な場面で応用が効きます。
近年では麻酔科医が緩和医療医となるケースが増えており、その需要も年々増えてきています。かの有名なMiller’s Anesthesiaにも緩和ケアの章が設けられており、緩和ケアの知識は麻酔科医を筆頭に重要な知識となっています。
病める患者やその家族に相対する際のプロフェッショナリズム
実際に患者さんやその家族に接する中で、身につける必要があります。
医師としてのプロフェッショナリズムを早いうちから確立することで、医師―患者関係を構築するスキルを伸ばすことができます。
緩和ケアを学ぶことは医師としての基本を学ぶことにも繋がります。何より患者を耐え難い苦痛から開放することができるというのは医師としては非常に重要なスキルです。
緩和ケアを学ぶためのおすすめの書籍
緩和ケアの基礎的な知識を学ぶためのおすすめの書籍を見ていきましょう。
緩和ケアレジデントマニュアル
1冊目は医学書院より出版されている「緩和ケアレジデントマニュアル」です。
この本は緩和ケアの気を学ぶ本として定番となっており、必要な知識がコンパクトかつ比較的網羅的に盛り込まれています。
研修医のうちに緩和ケア科を回っている間に購入して、そのまま研修が終わっても使っているという先生も多い(筆者もその一人です)名著です。
緩和ケアを専門にしていくならばもう少し詳しい書籍を紐解く必要がありますが、日常診療の困った症状に対して多くの対応策を授けてくれます。
エビデンスからわかる 患者と家族に届く緩和ケア
2冊目は医学書院から出版の「エビデンスからわかる 患者と家族に届く緩和ケア」です。
症状に関する基本的な対応とともに、死が迫っている患者への接し方がエビデンスに基づいて記載されています。
死が差し迫っている患者にどのように対応するか悩むことの多い緩和ケアでのエッセンスがつまっています。
まとめリンク
まとめ
緩和ケア分野について記事にしました。緩和ケアについて学んでいくと、この分野が私たちが思っているよりもっと重要な分野であることがわかりました。
緩和ケアの知識をどんどんアップデートしていきましょう。
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