はじめに
2020年から猛威をふるった感染症、「新型コロナウイルス」。未知のウイルスで医療従事者はどうすればいいか手探り状態で対応してきました。
変異株についてどのように考え、どのように対策をとれば良いか分からない薬剤師さんも多いと思います。患者さんから新型コロナについて聞かれる機会もちらほら・・・。
今回は、新型コロナウイルスを勉強するにあたっておすすめできる図書を紹介したいと思います。
今回紹介する図書
大阪市立十三市民病院がつくった 新型コロナウイルス感染症もっと対応BOOK
大阪市立十三市民病院がつくった 新型コロナウイルス感染症もっと対応BOOK
新型コロナウイルス感染患者を受け入れている病院が作成した対応BOOKです。コロナ専門病院として実際対応された病院が書かれているので、ためになる内容、情報が多く掲載されています。
紹介文
国内初の”新型コロナ専門病院”である、大阪市立十三市民病院さんが経験した症例をもとに、COVID-19患者の治療・ケアについてまとめました。
重症化を防ぐリスク管理、薬物治療、呼吸管理、栄養管理、褥瘡対策、リハビリテーション、医療安全管理など、COVID-19患者に対応する医療機関、医療従事者に必要な知識がつまっています。
主に感染対策について解説している『新型コロナウイルス感染症〔COVID-19〕対応BOOK』の続編です。
目次
CHAPTER 1
COVID-19患者対応の全体像
みんなで乗り越えてきた大阪市立十三市民病院の半年/COVID-19患者の入院から退院までの流れ
/病院へ到着後/入院中/退院基準/退院時
CHAPTER 2
重症化を防ぐアセスメントと全身管理のポイント
OVID-19重症化のリスク因子/チームで早期に病態悪化を見つける/スタッフがわかりやすい呼吸管理
/画像から重症化のサインをとらえる/糖尿病とCOVID-19の関係/COVID-19患者の栄養管理
/COVID-19患者のリハビリテーション/COVID-19患者の褥瘡対策/COVID-19患者対応における医療安全管理
CHAPTER 3
病態別の治療とケア
データでみる十三市民病院のCOVID-19患者像
症例でみる治療とケア
CASE1 軽 症
症状は味覚障害、嗅覚障害のみ。無治療で軽快。
隔離解除にはPCR検査連続2回陰性確認が必要だった時期の症例
CASE2 中等症Ⅰ
睡眠時無呼吸症候群合併。持続気道内陽圧呼吸療法(CPAP)使用中のため、
エアロゾル発生環境からの感染予防対策が必要であった症例
CASE3 中等症Ⅰ
ステージIV(肝転移、脳転移)の肺がん治療中にCOVID-19を併発した症例
CASE4 中等症Ⅰ
妊娠中にCOVID-19を併発し、全身状態が悪化したためステロイド治療を必要とした症例
CASE5 中等症Ⅱ
糖尿病合併。ステロイド治療により血糖コントロールが増悪し、インスリン強化療法を新規に導入した症例
CASE6 中等症Ⅱ
低酸素血症が悪化したが、挿管下人工呼吸管理を希望しなかったため、高流量酸素療法を行い軽快した症例
CASE7 中等症Ⅱ
自己での喀痰喀出が困難なため、頻回の喀痰吸引を必要としたが、
エアロゾル飛散防護テントを自作して感染防止対策を行った症例
CASE8 中等症Ⅱ
呼吸不全悪化のため、高次医療機関へ転院。挿管下人工呼吸管理を行われなかった症例
CASE9 重 症
呼吸不全悪化のため、高次医療機関へ転院。挿管下人工呼吸管理を行われた症例
CASE10 重 症
前医で挿管下人工呼吸管理を受け、抜管2日目に転院。
酸素の減量、血圧・血糖コントロールを行い、無事に退院となった症例
CASE11 重 症
隔離が必要なため、家族の来院ができない状況で、面談にモバイルを使用した看取りの症例
CHAPTER 4
COVID-19患者対応に必要な基礎知識
❶ 新型コロナウイルスとは?
❷ 感染のメカニズム
❸ COVID-19の感染経路
❹ COVID-19の主な症状
❺ COVID-19の経過
❻ COVID-19の後遺症
❼ COVID-19の検査
❽ COVID-19の薬物治療
❾ COVID-19の血栓予防
❿ COVID-19とインフルエンザ
⓫ ワクチン開発の展望
COVID-19対応で使える資料
個々の症例など、実際、新型コロナウイルス感染患者を受け入れている病院だからこそ書ける情報が多く掲載されています。コロナ受け入れ病院の《リアル》を知ることもできる1冊です。
新型コロナウイルス感染症[COVID-19]対応BOOK
コロナ専門病院である大阪市立十三市民病院さんが書かれた、もう1冊の新型コロナウイルスについての対応BOOKです。症例の紹介というより、「感染対策」についてどのように対策をとっていくか?といった情報が詰まった1冊です。
紹介文
国内初”新型コロナ専門病院”の大阪市立十三(じゅうそう)市民病院による、
職員と患者を守る対応マニュアル。
感染症の専門でもない、一般の急性期病院がコロナ専門病院になったとき、
どのような対策を立て、実践したのかわかる。
全科病棟に対応しており、感染対策、体制の見直しを行う医療機関、介護施設の教育、研修ツールとして必読の一冊。
※経験した症例をもとにCOVID-19患者の治療・ケアについてまとめた続編
「新型コロナウイルス感染症もっと対応BOOK」も併せてご覧ください。
目次
CHAPTER 1
COVID-19専門病院の全体像
大阪市の総合病院から、国内初のCOVID-19専門病院へ
ゾーニング
感染症専門医がいない場合のCOVID-19患者の診療
データでみる 大阪市立十三市民病院のCOVID-19対応
CHAPTER 2
COVID-19患者の入院~退院時の対応
COVID-19患者の入院要請から入院までの流れ
COVID-19患者の入院~退院経路
COVID-19患者の入院時
エレベーターの使用方法
病棟からCT検査室への移動
COVID-19患者の退院時
CHAPTER 3
感染防止対策
感染経路
COVID-19患者受け入れ時の個人防護具(PPE)
個人防護具(PPE)の着衣方法
個人防護具(PPE)の脱衣方法
病室内で患者に接触するときの個人防護具(PPE)
眼の防護具の取り扱い
手指衛生
環境整備
場所・状況別の感染対策
COVID-19患者が死亡した場合
CHAPTER 4
職員の健康管理
感染症状がある職員への対応
職員が発症したときの対応
医療従事者の濃厚接触と曝露リスクの評価
職員の心のケアも忘れずに
CHAPTER 5
COVID-19患者対応に関するQ&A
COVID-19対応で使える
チェック表・資料
病院長のCOVID-19日記
感染対策の知識を学べることはもちろんのこと、未知のウイルスに対して対応する医療従事者の苦悩、努力も感じる事のできる1冊です。最後には病院長の日記も掲載されています。
まとめリンク
まとめ
2020年から猛威をふるった新型コロナウイルス感染症。
薬剤師さんにも、病院での対応、調剤薬局でのオンライン服薬指導、コロナ陽性者が薬局に訪れた時の対応など、きちんとした感染対策、変化が求められています。
医療従事者として新型コロナウイルスについてしっかりと知っておく必要性があります。
今回紹介させて頂いた図書を、新型コロナウイルスを学ぶにあたって参考にして頂けたらと思います。
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