はじめに
超高齢化社会である日本、最期を家で過ごしたい。病院ではなく家で療養したい。と望む患者さんはたくさんいます。そこで始まるのが「在宅医療」です。今や、「在宅医療」を中心にやっている調剤薬局も少なくはないです。
これから「在宅医療」の勉強を始める薬剤師さんへおすすめの図書を今回は紹介します。
今回紹介する図書
スキルに自信がもてなくても、地域連携に悩んだとしても。できるところから始める在宅
在宅医療Q&A
日本薬剤師会から出版されている薬剤師さんの薬剤師さんによる在宅医療の教科書!基本的な事から、Q&A方式で分かりやすくまとめられています。
紹介文
●在宅医療に関わる薬剤師の疑問にQ&A形式でわかりやすく答えます
●COVID-19陽性患者を訪問する際のポイントを取り上げました
在宅医療における薬剤師の疑問に答える定番書籍。在宅医療に踏み出そうとしている初心者にぴったりのQ&A集です。在宅訪問準備から訪問後の報告、患者・服薬支援、多職種連携・体調チェック・薬のチェックなどのポイントや、緩和ケアの知識などをコンパクトにまとめています。在宅医療の実務はもちろん、フレイル、ロコモ、サルコペニア、転倒スコアなど、知っておくべきポイントが満載です。令和3年版では、COVID-19に感染し自宅療養中の患者を訪問する場合のQ&Aも追加しました。
2021年出版であり、コロナについての情報も掲載されています。これから在宅医療について勉強する人にとってためになる1冊です。
スキルに自信がもてなくても、地域連携に悩んだとしても。できるところから始める在宅
スキルに自信がもてなくても、地域連携に悩んだとしても。できるところから始める在宅 2018年 07 月号
こちらも「薬剤師」としての在宅の介入方法が分かりやすくまとめられている1冊です。薬の事だけでなく、「栄養」や「嚥下」などあらゆる視点から患者さんをみないといけない在宅であるため、この様に総合的に書かれている在宅医療の図書はおすすめです。
紹介文
スキルに自信がもてなくても、地域連携に悩んだとしても。
できることから始める在宅。
2018年調剤報酬改定で無菌製剤処理加算の引き上げや在宅の乳幼児加算新設などが実施されたほか、介護報酬改定により患者の服薬状況をケアマネジャーから医師や薬剤師などに伝達することが義務付けられるなど、在宅医療における薬剤師への期待はますます高まりを見せています。精力的に在宅訪問に取り組む薬局が増える一方で、薬の配達のみにとどまり、「薬剤師としての存在感を示せない」「多職種の輪に入っていけない」などの悩みをもつ薬局・薬剤師も少なくないのが現状です。
そこで本増刊号では、患者の状況に合わせた服薬支援や薬学的管理といった薬剤師ならではの介入から、褥瘡への対応やバイタルサイン、緩和ケア、在宅栄養指導、そしてそれらを実践するコツまで、現場目線でさまざまな“薬剤師にできること”を取り上げました。これから在宅を始めたい、今よりもう一歩踏み込みたい薬剤師のための実践ガイドです。
在宅医療において、薬剤師さんのスキルは「薬に関する知識」だけではなく、バイタルサイン、褥瘡などあらゆる知識が必要となってきます。そのスキルをみにつけるためにおすすめの図書です。
薬局がはじめる在宅医療ポケットガイド
2014年出版の本ですが、これから在宅を始めたい!と考えている薬剤師さんにおすすめの1冊です。全体的に在宅医療について優しい言葉で書かれているため読みやすく、これから勉強を始める薬剤師さんにはおすすめの入門書です。
紹介文
在宅医療に関わる薬剤師が知っておきたい知識が満載のポケットブック。東京都内で長年在宅医療に携わってきた著者が、在宅業務の始め方(在宅医とどうやって知り合う?必要な届出や書類は?)から、都市部に特有の問題の解決法まで伝授。多職種との連携方法や失敗例を生かしたコツなどが具体的で読みやすい。移動時間や業務の合間など短時間で学習できる、在宅業務への一歩を後押してくれる一冊。
目次
A 在宅医療を始める前に
1.在宅医とどうやって知り合うのか?在宅患者をどうやって確保するのか?
2.外来通院患者さんと在宅患者さんは何が違うか?~服薬管理指導上の違い~
3.薬局が在宅医療に参画する意義
4.調剤薬局が在宅医療を始める前の届出と準備
5.駐車許可証の申請手続き
B 多職種と連携する
1.介護の現場で行われる「担当者会議」とは?
2.介護の現場で行われる「退院時カンファレンス」とは?
3.退院時カンファレンスで病院側に依頼しておくべきこと
4.退院時カンファレンスに出席する前に準備しておくべきこと
5.多職種連携する際の共有情報
6.情報提供書を書く際のポイント
7.薬学的管理指導計画書を書く際のポイント
8.重要事項説明書と事前契約書
9.在宅医は必ずしも担当患者さんの病気の専門医ではありません
C 薬局内で連携する
1.在宅専任制と患者受け持ち制のメリット、デメリット
2.緊急処方に対応するための薬局内体制
3.訪問予定管理、予製管理、報告書作成のためのツール
D 患者さんに寄り添うために
1.計画的な対応ができない要因とその対策
2.患者さんをアセスメントする際のポイント
3.認知症患者さんへの対応
4.終末期における麻薬の使用
5.嚥下能力が低下してきた患者さんへの対応方法
6.簡易懸濁法を導入するタイミング
7.一人暮らしの高齢者へのアドバイス
E いざという時、あわてないために
1.もしも処方された医療材料が入手できなかったら
2.在宅医療でよく用いられる医療材料とその保険請求の可否
3.在宅医療で出る廃棄物の処理方法
4.麻薬における医薬品卸の配送体制と対策
5.返されてきた麻薬(調剤済み麻薬)の処理方法
6.高齢者向けの住宅・施設における介護保険、医療保険の適応の可否
7.災害時に対する備え
8.患者さんが亡くなられた時の対応
9.IVHに保険上混注できる薬できない薬
10.備えておくと便利なツール
索引
こちらも、これから在宅を始める!という方におすすめの1冊です。全体像をこの本で掴み、細かいところは更に詳しく書かれている図書を参考に調べていくことをおすすめします。
薬剤師のためのすぐに始められる! 在宅訪問ガイドブック
在宅医療でも「チーム医療」は重要です。こちらの図書は多職種連携についても書かれており、在宅の基本、基礎を分かりやすく解説しています。
紹介文
本書は、実際の在宅業務に携わっている薬剤師・ケアマネージャー・看護師などの多職種で執筆を行い、薬剤師が知っておくべき在宅の基本や申請方法から実際の在宅の現場でのポイントや必要な器具等に加え在宅医療で重要となる多職種連携についてまで、カラー写真やイラストを使い、わかりやすく解説しています。
解説では“POINT”や“豆知識”を記載して要点がわかるほか、参考として申請書などの実際の様式を掲載しているので便利です。
在宅訪問に必要な知識を網羅できるので、これから在宅を始める薬剤師の方におすすめの一冊です。
目次
第1章 訪問業務の3つのステップ
第2章 知っておきたい7つの病態
第3章 在宅業務で必要な衛生材料・医療材料
第4章 知っておきたいバイタルサイン
第5章 こんな症状に出会ったら 5つの視点
第6章 地域包括ケアシステムと多職種連携
薬剤師の在宅医療の入門書です。こちらの図書は、実際の在宅業務に携わっている薬剤師・ケアマネージャー・看護師などの多職種で執筆が行われているため、「リアルな現場」について知ることができます。
たんぽぽ先生から学ぶ 在宅医療報酬算定 ビギナーズ
在宅医療を始めるにあたって重要なのが「在宅医療報酬算定」です。こちらの知識がないとせっかくの在宅医療も思うようにいかないことがあります。こちらの図書は在宅の医療報酬算定の入門書です。
紹介文
在宅医療の報酬算定を学ぶなら,まずはこの本!
たんぽぽ先生こと永井康徳先生による超明解な解説で、難しい在宅医療制度の報酬算定を一から学ぶ人にピッタリの一冊。
毎年開催され、約2,000人が参加する「全国在宅医療テスト(ゆうの森主催)」ビギナー版の公式テキストでもあり、本書からビギナー版のテスト問題が作成されます。
もちろん、テスト受験者以外の方も、はじめて在宅医療に取りかかる方、在宅クリニックや訪問看護ステーションなどの在宅医療関係の医療機関・事業所の新入職員の研修や初期学習にもオススメできる本です。
目次
第1章 在宅医療の制度~学ぶメリットと制度の概要~
第2章 患者が利用可能な在宅サービスがわかる「5つの呪文」
第3章 訪問診療と往診の違いをマスターしよう
第4章 在宅時医学総合管理料と施設入居時等医学総合管理料~在宅患者を守るために医療機関が算定する管理料~
第5章 訪問看護をフル活用するためにこれだけは知っておきたい!
第6章 高難度!? 訪問リハビリテーションを攻略しよう!
第7章 多職種で行う退院支援とカンファレンスの基礎知識
章末問題
もちろん、報酬算定の事だけではなく、多職種で行う退院支援、カンファレンスの基礎的な知識についても書かれています。薬剤師として、多職種とうまく連携をとるためにもまずは基本的な知識をみにつけるのに、おすすめの1冊です。
まとめリンク
スキルに自信がもてなくても、地域連携に悩んだとしても。できるところから始める在宅 2018年 07 月号
まとめ
今日、「在宅医療」のニーズは高くなっています。患者さんにとって1番安らげる「家」で医療を提供できる事は医療従事者としても、患者さんとしても本望です。
もちろん、医療施設ではないので、提供できる医療が病院に比べれば限られてしまう事もありますが、家で過ごしたいと望んでいる患者さんに対して、多職種連携を行い、患者さんの望んでいる医療を届ける事が薬剤師の役割でもあります。
在宅医療を中心とした薬局も増えてきており、今後も、在宅医療は増えるだろうと言われています。
薬局や、病院だけでなく、「在宅」というステージで活躍できる薬剤師になるためにも、今回紹介した図書が役に立てれば幸いです。
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